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各科の専門研修プログラム

佐賀大学医学部附属病院麻酔科専門研修プログラム

お問い合わせ先

専門領域 麻酔科
電話番号 0952-34-2324
メールアドレス yoshiro@cc.saga-u.ac.jp

専門医制度の理念と専門医の使命

  1. 麻酔科専門医制度の理念
     麻酔科専門医制度は,周術期の患者の生体管理を中心としながら,救急医療や集中治療における生体管理,種々の疾病および手術を起因とする疼痛・緩和医療などの領域において,患者の命を守り,安全で快適な医療を提供できる麻酔科専門医を育成することで,国民の健康・福祉の増進に貢献する。
  2. 麻酔科専門医の使命
     麻酔科学とは,人間が生存し続けるために必要な呼吸器・循環器等の諸条件を整え,生体の侵襲行為である手術が可能なように管理する生体管理医学である。麻酔科専門医は,国民が安心して手術を受けられるように,手術中の麻酔管理のみならず,術前・術中・術後の患者の全身状態を良好に維持・管理するために細心の注意を払って診療を行う,患者の安全の最後の砦となる全身管理のスペシャリストである。同時に,関連分野である集中治療や緩和医療,ペインクリニック,救急医療の分野でも,生体管理学の知識と患者の全身管理の技能を生かし,国民のニーズに応じた高度医療を安全に提供する役割を担う。

専門研修プログラムの概要と特徴

 本研修プログラムでは,専門研修基幹施設である佐賀大学医学部附属病院(以下,佐賀大学),専門研修連携施設である地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(以下,好生館),独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター(以下,嬉野医療センター),独立行政法人国立病院機構佐賀病院(以下,佐賀病院),地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院(以下,こども病院)及び福岡・佐賀県内の連携施設において,専攻医が整備指針に定められた麻酔科研修の到達目標を達成できる専攻医教育を提供し,十分な知識・技術・態度を備えた麻酔科専門医を育成する。
 本研修プログラムでは麻酔症例数や指導体制が充実しており,専攻医が別途資料麻酔科専攻医研修マニュアルに定められた到達目標を達成することができると同時に,各研修施設の特徴を生かした効果的なローテーションを組むことにより,専攻医の志向するサブスペシャリティーにも配慮した研修が可能である。

専門研修プログラムの運営方針

  • 研修の前半2年間のうち少なくとも6ヶ月、後半2年間のうち6ヶ月は,専門研修基幹施設(佐賀大学)で研修を行う。
  • 好生館,嬉野医療センター,佐賀病院は地域医療を支える中核,中規模病院であり,これらの施設をローテーションすることにより,地域のニーズに応じた診療の多様性を経験することができる。
  • 研修内容・進行状況に配慮して,プログラムに所属する全ての専攻医が経験目標に必要な特殊麻酔症例数を達成できるように,ローテーションを構築する。
  • ペインクリニック・集中治療・緩和を2~4年目に3か月以上研修する。
  • 整備指針に定められた到達目標を達成することができるように,すべての領域を満遍なく回るローテーションを基本とするが,小児診療を中心に学びたい者へのローテーション(後述のローテーション例B),ペインクリニックを学びたい者へのローテーション(ローテーション例C),集中治療を中心に学びたい者へのローテーション(ローテーション例D)など,専攻医のキャリアプランに合わせたローテーションも考慮する。
  • 上記のプログラムとは別に,福岡県内の専門研修基幹施設との連携プログラム(ローテーション例E)を用意している。佐賀大学で最低1年間研修する以外の期間の研修プログラムは,研修登録時点で連携プログラムの統括責任者と協議して実施する。
研修実施計画例
A(標準) B(小児) C(ペイン) D(集中治療) E(県外連携)
初年度
前期
佐賀大学 佐賀大学 嬉野医療センター 佐賀大学 福岡県内連携施設
初年度
後期
佐賀大学 佐賀大学 嬉野医療センター 佐賀大学 福岡県内連携施設
2年度
前期
好生館 嬉野医療センター 佐賀大学 好生館 福岡県内連携施設
2年度
後期
好生館 嬉野医療センター 佐賀大学 嬉野医療センター 福岡県内連携施設
3年度
前期
嬉野医療センター 佐賀病院 佐賀大学(ペインクリニック) 佐賀病院 福岡県内連携施設
3年度
後期
嬉野医療センター 佐賀大学 佐賀病院 こども病院 福岡県内連携施設
4年度
前期
佐賀病院 好生館 好生館 佐賀大学(集中治療部) 佐賀大学
4年度
後期
佐賀大学 こども病院 好生館(緩和ケア) 佐賀大学(集中治療部) 佐賀大学
週間予定表 佐賀大学麻酔ローテーションの例
午前 手術室 手術室 手術室 手術室 手術室 休み 休み
午後 手術室 手術室 手術室 休み 手術室 休み 休み
当直 当直

研修施設の指導体制

専門研修基幹施設
佐賀大学医学部附属病院(以下、大学病院)
研修プログラム統括責任者
坂口 嘉郎
専門研修指導医
坂口 嘉郎(麻酔、集中治療)
山田 信一(麻酔、ペインクリニック、緩和ケア)
冨田 由紀子(麻酔)
谷川 義則(麻酔,集中治療)
中川内 章(麻酔,集中治療)
山下 友子(集中治療)
中村 公秀(麻酔,集中治療)
久我 公美子(麻酔)
山田 康貴(麻酔,心臓血管麻酔)
専門医
原野 りか絵(麻酔,ペインクリニック)
永石 雄基(麻酔)
野口 洋(麻酔)
認定病院番号
238
特徴
 佐賀大学病院では豊富で幅広い手術が行われ,ロボット支援下手術やハイブリッド手術室での血管内治療など高度で先進的な手術,合併症を有する重症患者の手術も多い。専門研修に求められる多様な麻酔症例,手技を十分に経験できる。ペインクリニック,集中治療の研修も可能である。心臓血管麻酔専門医認定施設,覚醒下脳手術認定施設,集中治療専門医研修施設である。
専門研修連携施設A
地方独立行政法人 佐賀県医療センター好生館(以下,好生館)
研修実施責任者
三浦 大介
専門研修指導医
三浦 大介(麻酔,心臓血管麻酔,小児麻酔,区域麻酔)
小杉 寿文(緩和ケア,ペインクリニック)
三溝 慎次(集中治療)
馬場 麻理子(麻酔,心臓血管麻酔)
古賀 美佳(集中治療)
弓場 智子(麻酔,緩和ケア)
久保 麻悠子(麻酔、緩和ケア)
専門医
草場 真一郎(麻酔)
天本 啓介(麻酔)
森永 智子(麻酔)
認定病院番号
393
特徴
  県内の中核病院であり、手術件数が多いため豊富で幅広い症例の麻酔経験ができる。術後疼痛管理に関しても区域麻酔を積極的に取り入れて行なっている。また、小児外科を有しているため、小児麻酔の経験が多くできるのも特徴の一つである。さらに当館は緩和ケア病棟を併設しているため、希望者は充実した緩和ケア研修を行うことができる。心臓血管麻酔認定施設、日本緩和医療学会認定研修施設である。
独立行政法人国立病院機構 嬉野医療センター(以下,嬉野医療センター)
研修実施責任者
香月 亮
専門研修指導医
香月 亮(麻酔,心臓血管麻酔,ペインクリニック,緩和ケア)
杉山 馨祐(麻酔,緩和ケア)
山口 奈央子(麻酔,緩和ケア)
北村 静香(麻酔,緩和ケア)
専門医
宮﨑 晴菜(麻酔,緩和ケア)
認定病院番号
918
特徴
 佐賀県南部・西部地区および長崎県東部をカバーする地域中核病院であり,幅広い領域の手術麻酔経験ができる。緊急手術・心臓血管外科手術症例数は佐賀県トップクラスであり,希望に応じて重点的に経験することができる。緩和ケア病棟・ペインクリニック外来を併設しており, 手術麻酔だけではなく緩和ケアチームや緩和ケア病棟での緩和医療研修やペインクリニック研修も多く受け入れている。日本ペインクリニック学会指定研修施設,日本緩和医療学会認定研修施設である。
独立行政法人国立病院機構 佐賀病院(以下,佐賀病院)
研修実施責任者
濱田 献
専門研修指導医
濱田 献(麻酔,緩和ケア)
濱田 さつき(麻酔)
辻 史子(麻酔)
認定病院番号
1895
特徴
 佐賀県内唯一の総合周産期母子医療センターを有しており,帝王切開を中心に無痛分娩なども含めた豊富な産科麻酔症例を経験できる。 麻酔科管理症例の半数以上で末梢神経ブロックを行っており, 区域麻酔の経験も十分に行うことが出来る。日本緩和医療学会認定研修施設である。
地方独立行政法人福岡市立病院機構 福岡市立こども病院(以下,こども病院)
研修実施責任者
水野 圭一郎
専門研修指導医
水野 圭一郎(麻酔・集中治療)
泉 薫(麻酔)
住吉 理絵子(麻酔)
藤田 愛(麻酔)
賀来 真里子(麻酔)
石川 真理子(麻酔)
小栁 幸(麻酔)
認定病院番号
205 (1980年認定)
特徴
 サブスペシャリティーとしての小児麻酔を月30~50例のペースで集中的に経験できる。新生児を含む小児全般の気道・呼吸管理の実践的な研修が可能。また, 地域周産期母子医療センターであり, 超緊急を含む帝王切開や内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼などの周産期手術も経験できる。外科・整形外科・泌尿器科・産科の手術では硬膜外麻酔・神経ブロックを積極的に用いている。急性痛管理にも力を入れており、麻酔科主導で硬膜外鎮痛やPCAなどを行っている。先天性心疾患の手術件数・成績は国内トップレベルを誇り、研修の進達度に応じて複雑心奇形の根治手術・姑息手術の麻酔管理の担当も考慮する。
九州大学病院
研修実施責任者
山浦 健
専門研修指導医
山浦 健(麻酔,集中治療,ペインクリニック)
東 みどり子(麻酔)
辛島 裕士(麻酔)
神田橋 忠(麻酔)
牧  盾(麻酔,集中治療,救急)
前田 愛子(麻酔,ペインクリニック)
白水 和宏(麻酔,集中治療,救急)
崎村 正太郎(麻酔)
大澤 さやか(麻酔,集中治療,救急)
福徳 花菜(麻酔,緩和ケア)
信國 桂子(麻酔)
水田 幸恵 (麻酔)
浅田 雅子(麻酔)
田口 祥子(麻酔)
髙橋 慶多(麻酔、集中治療)
中川 拓(麻酔)
石橋 忠幸(麻酔)
田邉 光和子(麻酔)
安藤 太一(麻酔,集中治療)
中野 良太(麻酔)
山田 千晶(麻酔)
専門医
梅原 真澄(麻酔)
吉村 美穂(麻酔)
認定病院番号
8
特徴
 九州大学病院は, 全国でも最大規模の手術症例数を持っている。 特に移植手術(心臓・肝臓・腎臓・膵臓等)や特殊な心臓手術(先天性心疾患、経カテーテル的大動脈弁置換術),ロボット手術等の症例数も多く,高度で専門的な麻酔の研修を行うことができる。 また, 集中治療・救急医療・ペインクリニック・緩和ケアなど, 関連分野での幅広い研修を行うことができる。
国立病院機構 九州医療センター(以下,九州医療センター)
研修実施責任者
辛島 裕士
専門研修指導医
辛島 裕士(麻酔,心臓血管麻酔)
甲斐 哲也(麻酔,ペインクリニック)
中垣 俊明(麻酔)
虫本 新恵(麻酔)
福岡 玲子(麻酔)
松岡 友香(麻酔)
松下 克之(麻酔)
川久保 紹子(麻酔)
認定病院番号
697
特徴
 外科系の全診療科を有し, 麻酔科専門医に求められる全ての領域の麻酔を経験することができる。 全身麻酔は全静脈麻酔を主体とし, 速やかで質の高い覚醒と術後嘔気の少ない良質な麻酔を目指しており, 全静脈麻酔を多数経験することができる。 術後鎮痛に配慮してエコーガイド下末梢神経ブロックを積極的に施行しており, 対象症例も多いため, 神経ブロックも多く経験することができる。 術後ivPCAを施行する患者も多く, そのコントロールへの関与も可能である。
社会福祉法人恩賜財団済生会 福岡県済生会福岡総合病院(以下,済生会福岡病院)
研修実施責任者
吉村 速
専門研修指導医
吉村 速(麻酔)
倉富 忍(麻酔)
阿部 潔和(麻酔)
牛尾 春香(麻酔)
八田 万里子(麻酔)
認定病院番号
1043
特徴
 済生会福岡総合病院は,病床数380床,手術室9室(うち1つはハイブリッド手術室),年間手術症例数4000件,地域医療支援病院,地域がん診療連携拠点病院,福岡県災害拠点病院に指定されている,福岡市の中心天神地区に位置する中規模急性期総合病院である。
 ハイブリッド手術室では,TAVI・TEVARをはじとする経カテーテル手術を全身麻酔科下で施行しているほか,ロボット支援手術システムを取り入れた高度先進医療も積極的に行い,難易度の高い術式や循環器系の重症合併症を有する患者の手術症例が数多く施行されている。また,第 3 次救急救命センターを有しているため,緊急症例が多く,全手術件数の 20%以上が緊急手術で,胸腹部大動脈破裂・頭部外傷・消化管穿孔・多発外傷等の緊急手術に 365 日 24 時間対応し,地域の医療の一翼を担っている。
地域医療機能推進機構九州病院 (以下,JCHO九州病院)
研修実施責任者
吉野 淳
専門研修指導医
吉野 淳(麻酔)
芳野 博臣(麻酔)
松本 恵(麻酔)
今井 敬子(麻酔)
水山 有紀(麻酔,集中治療)
小林 淳(麻酔)
専門医
土井 拓(麻酔)
認定病院番号
257
特徴
 北九州市西部を中心に遠賀・中間地域や直方・鞍手地域の地方急性期医療を担っている。超低出生体重児から超高齢者まで、さらに成人先天性心疾患合併妊婦やハイリスク妊婦, 循環器や呼吸器系に重篤な合併症を抱えた患者も受け入れている。
 特に小児循環器科では 九州北部・山口から広域に患者を受け入れており、手術症例も多い。このため、先天性心疾患手術はVSDから単心室・複雑心奇形まで多彩である。成人心臓手術も多岐にわたり、弁膜症や冠動脈バイパス手術、急性大動脈解離や大動脈破裂など心臓血管専門医に必要な症例は全てカバーできる。 JB-POTを有するスタッフは現在6名在籍しており、手厚い指導体制で後期研修をサポートする。ハイブリッド手術室での、ASD/PDAカテーテル閉鎖術や動脈瘤のステント手術、弁置換手術のTAVIも積極的に行われている。
 また、地域周産期母子医療センターを併設しており、胎児診断を元に産婦人科・新生児科・麻酔科がチーム医療と相互サポート体制で計画的に治療を行い、周産期の産科麻酔・新生児麻酔の研修体制をバックアップする。
 6歳未満の麻酔症例数は553例(2020年度)であり、小児麻酔認定医への症例数は十分である。安全・安心な周術期管理を第一としつつも、末梢神経ブロック積極的に併用し、こどもたちにも多角的鎮痛により良好な鎮痛を目指している。
独立行政法人 福岡市立病院機構 福岡市民病院(以下,福岡市民病院)
研修実施責任者
杉部 清佳
専門研修指導医
杉部 清佳(麻酔)
専門医
春田 怜子(麻酔)
認定病院番号
579
特徴
 当院は福岡市の中心部に位置し,主に消化器・肝臓外科,整形外科(特に脊椎)の手術を中心に,年間約1,000例近い手術を麻酔科が管理しています。その他にも血管外科や脳外科,透析患者を含めた全身状態に問題のある症例も多く、手術の際には呼吸器系や循環器系,中枢神経系などの多角的な視点で病態をとらえ,安全で良質な全身麻酔管理を行うために必要な知識と技術を習得することが可能。また術後鎮痛にも積極的に取り組んでいるため,硬膜外麻酔や神経ブロックについての研修も行うことができる。
公立学校共済組合 九州中央病院(以下,九州中央病院)
研修実施責任者
藤吉 哲宏
専門研修指導医
藤吉 哲宏(麻酔)
松角 貴子(麻酔)
木村 真実(麻酔)
山本 美佐紀(麻酔)
専門医
近間 洋治(麻酔,ペインクリニック)
認定病院番号
0050
特徴
 2022年度の麻酔科管理症例数は約3000件で,腹部外科,呼吸器外科,血管外科,整形外科,脳神経外科,泌尿器科,乳腺外科,耳鼻咽喉科,婦人科,皮膚科,眼科,形成外科の手術麻酔を行います.硬膜外麻酔,脊髄くも膜下麻酔に加え,末梢神経ブロックの症例を数多く経験出来る。特にエコーガイド下末梢神経ブロックには積極的に取り組んでいる.また,ペインクリニック診療も行なっており,ペインクリニックを学ぶ機会も得られる。
国家公務員共済組合連合会 浜の町病院(以下 浜の町病院)
研修実施責任者
加治 淳子(麻酔)
専門研修指導医
加治 淳子(麻酔)
谷口 省吾(麻酔)
藤本 鮎美(麻酔)
竜田 ちひろ(麻酔)
東 晶子(麻酔)
専門医
平戸 愛友(麻酔)
松山 優梨子(麻酔)
認定病院番号
258
特徴
 当院は2013年より新病院に移転し,整った環境で診療を行っている。当院では心臓血管外科以外の手術はすべて実施されており,消化器外科,乳腺外科,呼吸器外科,耳鼻咽喉科,整形外科,泌尿器科,脳外科,形成外科,婦人科,産婦人科と症例は多岐にわたる。手術室は9室(バイオクリーンルーム2部屋,陰圧室1部屋)で運営しており,各種電子記録システムや映像記録支援システム,中央監視システム等の設備が整っている。各手術室映像,生体モニターは麻酔科スタッフルームから常時監視されており,早期に危険を回避してより高度な安全を確保することが可能となっている。婦人科の内視鏡手術が多いことが当院の特徴で,初期研修医は一日に2-3症例の 気管挿管等の気道確保手技および全身麻酔管理が経験できる。研修期間終了までに,病棟/外来 での気道確保ができるようになることを目標としている。また,後期研修医は呼吸器外科や肝切除,脳外科手術の麻酔など,後期研修で習得すべき麻酔管理を研修できる。麻酔科では毎朝症例カンファレンスを行い,全身状態に問題がある患者の術前評価,麻酔管理法をプレゼンし,各症例に対する情報を共有し理解を深めている。九州大学病院麻酔科医局主催の月例カンファレンス等の勉強会,研修医説明会への参加,および麻酔科学会への参加も奨励している。
社会福祉法人恩賜財団済生会 済生会唐津病院
研修実施責任者
田中 宏幸(麻酔)
専門研修指導医
田中 宏幸(麻酔)
認定病院番号
1507
特徴
 当院は佐賀県唐津市周辺地域の急性期医療を担っている,193床の中規模病院である。内科,循環器内科,外科,整形外科,脳外科などの診療科があり,地域に根ざした医療をチームワークよく行っている。手術を受ける患者は高齢者が多く,70歳以上の患者が約6割となっている。麻酔科管理症例数は560例であり,その内訳は腹部外科(約300例),呼吸器外科(約30例),血管外科(約25例),脳外科(約50例)となっている。手術症例数や手術内容は豊富ではないが,基本的な麻酔技術の習得は可能である。
雪の聖母会 聖マリア病院(以下、聖マリア病院)
研修実施責任者
藤村 直幸
専門研修指導医
藤村 直幸(麻酔,救急,集中治療)
島内 司(麻酔)
自見 宣郎(麻酔)
甘蔗 真純(麻酔)
漢那 朝雄(麻酔,集中治療,救急)
坂井 寿里亜(麻酔)
田中 麻衣(麻酔)
佐々木 翔一(麻酔)
髙森 遼子(麻酔)
井手 朋子(麻酔)
専門医
犬塚 愛美(麻酔)
認定病院番号
483
特徴
 当院は、救命救急センター、総合周産期母子医療センターを併設している地域中核病院です。救急医療に主軸を置く当院では、24時間365日患者さんを受け入れており、新生児から高齢者まで数多くの症例を経験できます。年間麻酔科管理症例数が約5000例あるため、麻酔科専門医取得に必要な症例は、当院で全て経験することが可能です。
当院の麻酔の特徴としては
①整形外科手術、呼吸器外科、外科、小児外科、形成外科に対しては、超音波ガイド下末梢神経ブロックを用いた麻酔管理や術後疼痛管理を積極的に行っています。
②小児の麻酔症例が多いのが特徴です。6歳未満の小児の手術件数は年間600件を超えています。
③心臓血管外科手術は、胸部大血管手術や弁置換術に加え、EVARなど低侵襲心臓大血管手術を経験できます。
④形成外科が、口唇口蓋裂、頭蓋縫合早期癒合症など先天異常に対する治療を積極的な行っているため、気道確保困難が予想されるTreacher Collins SyndromeやPierre Robin Syndromeなどの症例を経験できます。
⑤福岡県南の産科医療の拠点であり、ハイリスク妊婦の麻酔を数多く経験できます。帝王切開の手術件数は年間300件前後です。
⑥外科、脳神経外科、整形外科、形成外科の緊急手術が多いため、緊急手術症例対応に必要な知識と技術を取得できます。
⑦日本でも有数の股関節・大腿近位の骨折の治療実績を誇り、脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔の手技を多く経験できます。
久留米大学病院
研修実施責任者
平木 照之
専門研修指導医
平木 照之(麻酔,ペインクリニック,緩和医療)
山田 信一(麻酔,ペインクリニック,緩和医療)
原 将人(麻酔,心臓血管麻酔)
中川 景子(麻酔)
大下 健輔(麻酔, 心臓血管麻酔)
西尾 由美子(麻酔)
横溝 美智子(麻酔)
濵田 寛子 (麻酔)
太田 聡 (麻酔)
上瀧 正三郎(麻酔)
服部 美咲(麻酔)
永田 環  (麻酔、ペインクリニック、緩和医療)
江島 美紗 (麻酔)
合原 由衣 (麻酔)
兵頭 彩子 (麻酔)
伊藤 舞衣 (麻酔)
認定病院番号
0041
特徴
 心臓大血管手術、開頭術、分離肺換気、小児など多数の手術麻酔を経験することができる。
久留米大学医療センター
研修実施責任者
平田 麻衣子
専門研修指導医
平田 麻衣子(麻酔)
認定病院番号
1451
特徴
 クリニカルパスを含めた, 手術麻酔のマネジメントを経験できる。 また整形外科疾患におけるエコーガイド下末梢神経ブロックを集中的に経験することができる。
大牟田市立病院
研修実施責任者
亀山 直光
専門研修指導医
伊藤 貴彦(麻酔, 救急医療)
亀山 直光(麻酔)
認定病院番号
0386
特徴
 地域医療支援病院, がん診療拠点病院, 災害拠点病院, 小児麻酔や産科麻酔, 脳神経外科や胸部外科の症例が豊富で緊急手術も多い。 災害拠点病院でもあり, 救急医療にも力を入れている。
福岡大学病院
研修実施責任者
秋吉 浩三郎
専門研修指導医
秋吉 浩三郎(麻酔, 心臓血管麻酔, 緩和ケア)
重松 研二(麻酔, 集中治療)
楠本 剛(麻酔, 心臓血管麻酔)
柴田 志保(麻酔, ペインクリニック, 緩和ケア)
岩下 耕平(麻酔, 集中治療)
佐藤 聖子(麻酔, 産科麻酔, 小児麻酔)
平井 規雅(麻酔、ペインクリニック)
三股 亮介(麻酔, 心臓血管麻酔)
外山 恵美子(麻酔、ペインクリニック)
熊野 仁美(麻酔,産科麻酔)
富永 将三(麻酔,小児麻酔)
今給黎 佑理(麻酔、産科麻酔)
村山 和哉(麻酔、ペインクリニック、緩和ケア)
山田 宗範(麻酔、心臓血管麻酔)
認定病院番号
92
特徴
 例年8000例以上の手術症例数,約6500例の麻酔科管理症例がある。症例数は豊富で, 麻酔科専門研修に必要な症例はすべて経験することができる。施設としては, 移植手術(脳死および生体肺移植術, 腎移植手術), 心大血管手術や外傷手術などの緊急手術を多く経験できることが特徴である。麻酔管理の特徴としては, 超音波ガイド下の末梢神経ブロックを数多く行っており, 術後の疼痛管理に積極的に取り組んでいる。また, 周術期管理センターを開設し, 周術期管理チームとして看護師・薬剤師・歯科衛生士・栄養士と連携し, 全身状態の評価を入院前から行っている。麻酔科医が主体となって外科系集中治療室を運営しており, 術中から術後まで継続した全身管理を学ぶことが可能である。ペインクリニックでは急性痛・慢性痛に対する薬物療法や神経ブロックを経験できる。緩和ケアではチームの一員としてがん患者とその家族の身体的・精神的苦痛を和らげる支援をしている。その他, 神経ブロックを始めとする各種講習会や研修会を定期的に開催しており, 様々な資格・認定を取得することが可能である。
福岡大学筑紫病院
研修実施責任者
若崎 るみ枝
専門研修指導医
若崎 るみ枝(麻酔)
中原 春奈(麻酔)
野口 紗織(麻酔)
三原 慶介(麻酔)
認定病院番号
398
特徴
  1. 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)の症例数が全国的にも多く、大腸全摘や肛門周囲膿瘍切開排膿術など、疾患に関連した手術が多い。
  2. 肩関節手術を含めた整形外科症例数が多く、神経ブロックを行う症例が豊富である。
  3. 一般外科は食道、膵臓、肝臓、結腸、肺、胆嚢、鼠径ヘルニアなどの腹腔鏡手術、開腹手術が多く行われており、バランスよくどちらの麻酔も学ぶことができる。
  4. 希望者は緩和ケアチームへの参加可能。
独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター
研修実施責任者
小河原 利帆子(麻酔)
専門研修指導医
小河原 利帆子(麻酔)
秋吉 浩美  (麻酔)
小林 祐紀子 (麻酔)
認定病院番号
774
特徴
 がん専門病院であり、進行癌に対する複数科合同手術の麻酔が経験できる。頭頚科領域悪性腫瘍手術に対する腫瘍切除、遊離空腸皮弁による再建術頭頸科、消化管外科合同の食道切除、再建術、また下部消化管進行癌に対する泌尿器科または婦人科合同の骨盤内臓全摘出術などがある。胸腔鏡下腹臥位、開胸仰臥位食道切除再建術を含む分離肺換気症例も多い。
白十字病院
研修実施責任者
平井 孝直
専門研修指導医
平井 孝直(麻酔)
戸田 志緒里(麻酔)
認定病院番号
1140
特徴
① 整形外科・泌尿器科の手術症例数が多く、脊髄クモ膜下麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔などの区域麻酔併用症例が豊富である。
② 腹部消化器外科手術の症例数が多い。
③ 心臓血管外科症例が年々増加しており、特に低侵襲心臓手術が多い。血管内手術も行っている。
④ 脳外科症例は、ハイブリッド室での血管内手術や開頭、脊椎手術も増加している。
唐津赤十字病院
研修実施責任者
嘉手川 繁登
専門研修指導医
嘉手川 繁登(麻酔)
高口 由希恵(麻酔)
高橋 明子(麻酔)
認定病院番号
547
特徴
 佐賀県北部地域の医療の中核を担い、年間約1500例の麻酔管理を行なっている。外科、整形外科、脳外科、産婦人科をはじめ様々な外科系手術を行なっており、また外傷、帝王切開などの緊急手術症例も経験することができる。
北九州市立医療センター
研修プログラム統括責任者
加藤 治子
専門研修指導医
加藤 治子(麻酔、ペインクリニック)
齋川 仁子(麻酔)
原賀 勇壮(麻酔、緩和、ペインクリニック)
武藤 官大(麻酔、ペインクリニック、災害)
武藤 佑理(麻酔、ペインクリニック)
神代 正臣(麻酔、緩和、ペインクリニック)
豊永 庸佑(麻酔)
松山 宗子(麻酔)
中野 涼子(麻酔)
専門医
小川 のり子(麻酔、ペインクリニック)
認定病院番号
316
特徴
 高度型がん診療拠点病院であり、ロボット支援手術を筆頭に高度がん医療の麻酔管理を行います。総合周産期母子医療センターも有しており、超緊急帝王切開を含め産科急患や、出生直後の新生児外科症例を経験します。ペインクリニック(ペインクリニック学会指定研修施設)や緩和ケア(がん治療支援)も学ぶことができます。
産業医科大学病院
研修実施責任者
堀下 貴文
専門研修指導医
堀下 貴文(麻酔)
寺田 忠徳(麻酔,ペインクリニック,緩和医療)
濵田 高太郎(麻酔)
岡田 久乃(麻酔)
竹下 利奈(麻酔)
橋本 航(麻酔)
蒲地 正幸(麻酔,集中治療)
古賀 和徳(麻酔,ペインクリニック)
原 幸治(麻酔,ペインクリニック)
専門医
福井 遼(麻酔)
竹下 利奈(麻酔)
武末 美幸(麻酔)
長坂 アイ子(麻酔)
瀧山 さゆり(麻酔)
金田 翔吾(麻酔)
神野 正航(麻酔)
安波 恵介(麻酔)
高場 絹子(麻酔)
認定病院番号
184
特徴
 産業医科大学病院は,北九州唯一の特定機能病院として高度医療を提供し続けており,地域がん診療連携拠点病院としても地域において重要な役割を担っている。また,手術症例は多岐にわたっており,ほぼ全ての外科系手術の麻酔管理の研修が可能であり,特殊疾患患者の手術も多いため,質の高い教育を提供することができる。
九州労災病院
研修実施責任者
竹中 伊知郎
専門研修指導医
佐野 治彦(麻酔)
竹中 伊知郎(麻酔)
南 智子(麻酔)
認定病院番号
425
特徴
 整形外科主体の総合病院
神戸労災病院
研修実施責任者
入江 潤
専門研修指導医
入江 潤(麻酔)
伊福 弥生(麻酔)
河野 泰第(麻酔)
木田 健太郎(麻酔)
認定病院番号
143
特徴
 頸椎手術が多く,様々な気道確保症例を経験できる.ペインクリニックの研修も可能である。
北九州総合病院
研修実施責任者
青山 和義
専門研修指導医
青山 和義(麻酔)
竹田 貴雄(麻酔,ペインクリニック)
西村 昌泰(麻酔)
野上 裕子(麻酔)
佐藤 珠美(麻酔)
専門医
添田 祐治(麻酔)
奥村 美絵(救急・麻酔)
認定病院番号
447
特徴
 当院は救命救急センターを有し,高度外傷をはじめ多彩な緊急手術を経験できる。神経ブロック併用の整形外科手術も多い。小児,胸部外科,脳神経外科,帝王切開などの経験必要症例もバランスよく研修可能である。
専門研修連携施設B
医療法人社団高邦会 高木病院 (以下,高木病院)
研修実施責任者
髙松 千洋(麻酔)
専門研修指導医
髙松 千洋(麻酔)
認定病院番号
1632
特徴
 福岡県南部の大川市に所在する地域医療の中核を担う総合病院であり、緊急手術も多い。麻酔科専門研修で特殊麻酔とされる開心術・開頭術・胸部外科・帝王切開・小児の手術症例なども含めて万遍なく経験することができる。
 医療系の教育施設も併設していることから、パラメディカルスタッフを含めたチーム医療の実践について学ぶ機会も多い。
筑後市立病院
研修実施責任者
濵田 伸哉
専門研修指導医
濵田 伸哉(麻酔)
認定病院番号
900
特徴
 災害拠点病院。鏡視下手術の麻酔や手術室外での麻酔を経験できる。
日本赤十字社 福岡赤十字病院
研修実施責任者
生野 愼二郎
専門研修指導医
生野 愼二郎(麻酔)
迎 雅彦(麻酔)
中西 洋太朗(麻酔)
認定病院番号
243
特徴
 帝王切開術, 心臓血管手術, 胸部外科手術, 脳神経外科手術の症例数は週に1例以上あり, 帝王切開術は特に多い。全身麻酔を基本に, 硬膜外麻酔, 脊髄くも膜下麻酔, 神経ブロックを併用した麻酔管理を行っている。近年は麻酔困難症例に対して超音波ガイド下の神経ブロックを積極的に行っている。腎センターが併設されており,透析患者の麻酔管理も多い。
福岡東医療センター
研修実施責任者
白武 孝久
専門研修指導医
白武 孝久(麻酔)
認定病院番号
654
特徴
 地域の救急医療を担う、呼吸器外科手術が多い。

専攻医の採用と問い合わせ先

採用方法
 専攻医に応募する者は,日本専門医機構に定められた方法により,期限までに志望の研修プログラムに応募する。
問い合わせ先
 本研修プログラムへの問い合わせは,佐賀大学医学部附属病院麻酔・蘇生学HPお問い合わせ,電話,e-mail,郵送のいずれの方法でも可能である。
 佐賀大学医学部附属病院 麻酔・蘇生学 教授 坂口 嘉郎
 佐賀県佐賀市鍋島5丁目1‐1
 TEL 0952‐34‐2324
 E-mail yoshiro@cc.saga-u.ac.jp
 http://www.masui.med.saga-u.ac.jp/

麻酔科医資格取得のために研修中に修めるべき知識・技能・態度について

専門研修で得られる成果(アウトカム)
 麻酔科領域の専門医を目指す専攻医は,4年間の専門研修を修了することで,安全で質の高い周術期医療およびその関連分野の診療を実践し,国民の健康と福祉の増進に寄与することができるようになる。具体的には,専攻医は専門研修を通じて下記の4つの資質を修得した医師となる。
  1. 十分な麻酔科領域,および麻酔科関連領域の専門知識と技能
  2. 刻々と変わる臨床現場における,適切な臨床的判断能力,問題解決能力
  3. 医の倫理に配慮し,診療を行う上での適切な態度,習慣
  4. 常に進歩する医療・医学に則して,生涯を通じて研鑽を継続する向上心
 麻酔科専門研修後には,大学院への進学やサブスペシャリティー領域の専門研修を開始する準備も整っており,専門医取得後もシームレスに次の段階に進み,個々のスキルアップを図ることが出来る。
麻酔科専門研修の到達目標
 国民に安全な周術期医療を提供できる能力を十分に備えるために,研修期間中に別途資料麻酔科専攻医研修マニュアルに定められた専門知識専門技能学問的姿勢医師としての倫理性と社会性に関する到達目標を達成する。
麻酔科専門研修の経験目標
 研修期間中に専門医としての十分な知識,技能,態度を備えるために,別途資料麻酔科専攻医研修マニュアルに定められた経験すべき疾患・病態経験すべき診療・検査経験すべき麻酔症例学術活動の経験目標を達成する。
 このうちの経験症例に関して,原則として研修プログラム外の施設での経験症例は算定できないが,地域医療の維持など特別の目的がある場合に限り,研修プログラム管理委員会が認めた認定病院において卒後臨床研修期間に経験した症例のうち,専門研修指導医が指導した症例に限っては,専門研修の経験症例数として数えることができる。

専門研修方法

 別途資料麻酔科専攻医研修マニュアルに定められた1)臨床現場での学習,2)臨床現場を離れた学習,3)自己学習により,専門医としてふさわしい水準の知識,技能,態度を修得する。
 臨床現場での学習においては,麻酔科内の症例検討会だけでなく,関連診療科との合同症例検討会を適宜行う。本研修プログラム全体で行う症例検討会,セミナーを年1回は開催する。
 自己学習の環境として,研修施設内に図書,シミュレーション教材などを整備する。

専門研修中の年次毎の知識・技能・態度の修練プロセス

 専攻医は研修カリキュラムに沿って,下記のように専門研修の年次毎の知識・技能・態度の到達目標を達成する。
専門研修1年目
 手術麻酔に必要な基本的な手技と専門知識を修得し,ASA1~2度の患者の通常の定時手術に対して,指導医の指導の元,安全に周術期管理を行うことができる。
 院内のカンファレンスや抄読会,外部のセミナーやカンファレンスなどに出席し,積極的に討論に参加できる。
専門研修2年目
 1年目で修得した技能,知識をさらに発展させ,全身状態の悪いASA3度の患者の周術期管理やASA1~2度の緊急手術の周術期管理を,指導医の指導のもと,安全に行うことができる。
 学術集会や学術出版物に,症例報告の発表をすることができる。
専門研修3年目・専門研修4年目
 心臓外科手術,胸部外科手術,脳神経外科手術,帝王切開手術,小児手術などを経験し,さまざまな特殊症例の周術期管理を指導医のもと,安全に行うことができる。また,ペインクリニック,集中治療,救急医療など関連領域の臨床に携わり,知識・技能を修得する。
 2年目までの経験をさらに発展させ,さまざまな症例の周術期管理を安全に行うことができる。基本的にトラブルのない症例は一人で周術期管理ができるが,難易度の高い症例,緊急時などは適切に上級医をコールして,患者の安全を守ることができる。
 臨床上の疑問に関して,指導医とともに仮説を立て,それを解明するような研究のデザインを立案し,研究を実施し,仮説が成り立つか証明するという研究活動経験を持つことが推奨される。

専門研修の評価(自己評価と他者評価)

形成的評価
  • 研修実績記録:専攻医は毎研修年次末に,専攻医研修実績記録フォーマットを用いて自らの研修実績を記録する。研修実績記録は各施設の専門研修指導医に渡される。
  • 専門研修指導医による評価とフィードバック:研修実績記録に基づき,専門研修指導医は各専攻医の年次ごとの知識・技能・適切な態度の修得状況を形成的評価し,研修実績および到達度評価表指導記録フォーマットによるフィードバックを行う。研修プログラム管理委員会は,各施設における全専攻医の評価を年次ごとに集計し,専攻医の次年次以降の研修内容に反映させる。
  • 専門研修指導医は専攻医の評価を行う際に,連携診療している外科医,看護師,薬剤師,臨床工学技士,放射線技師などの医療スタッフから専攻医がどのように評価されているかを必要に応じて聞き取り調査する。
総括的評価
 研修プログラム管理委員会において,専門研修4年次の最終月に,専攻医研修実績フォーマット研修実績および到達度評価表指導記録フォーマットをもとに,研修カリキュラムに示されている評価項目と評価基準に基づいて,各専攻医が専門医にふさわしい①専門知識,②専門技能,③医師として備えるべき学問的姿勢,倫理性,社会性,適性等を修得したかを総合的に評価し,専門研修プログラムを修了するのに相応しい水準に達しているかを判定する。

専門研修プログラムの修了要件

 各専攻医が研修カリキュラムに定めた到達目標,経験すべき症例数を達成し,知識,技能,態度が専門医にふさわしい水準にあるかどうかが修了要件である。各施設の研修実施責任者が集まる研修プログラム管理委員会において,研修期間中に行われた形成的評価,総括的評価を元に修了判定が行われる。

専攻医による専門研修指導医および研修プログラムに対する評価

 専攻医は,毎年次末に専門研修指導医および研修プログラムに対する評価を行い,研修プログラム管理委員会に提出する。評価を行ったことで,専攻医が不利益を被らないように,研修プログラム統括責任者は,専攻医個人を特定できないような配慮を行う義務がある。
 研修プログラム統括管理者は,この評価に基づいて,すべての所属する専攻医に対する適切な研修を担保するために,自律的に研修プログラムの改善を行う義務を有する。研修プログラム統括管理者は,必要な改善事項に関して,研修プログラム管理委員会に諮り,研修プログラムのシステム改善を実施する。この際に,指導医あるいはプログラムに対してフィードバックを行った専攻医個人が特定できないような配慮をする。研修プログラム管理委員会では,専攻医によるフィードバックを分析し,研修プログラム,専門研修指導医の教育方法の改善に結びつける。

専門研修の休止・中断,研修プログラムの移動

専門研修の休止
  • 専攻医本人の申し出に基づき,研修プログラム管理委員会が判断を行う。
  • 出産あるいは疾病などに伴う6ヶ月以内の休止は1回までは研修期間に含まれる。
  • 妊娠・出産・育児・介護・長期療養・留学・大学院進学など正当な理由がある場合は,連続して2年迄休止を認めることとする。休止期間は研修期間に含まれない。研修プログラムの休止回数に制限はなく,休止期間が連続して2年を越えていなければ,それまでの研修期間はすべて認められ,通算して4年の研修期間を満たせばプログラムを修了したものとみなす。
  • 2年を越えて研修プログラムを休止した場合は,それまでの研修期間は認められない。ただし,地域枠コースを卒業し医師免許を取得した者については,卒後に課せられた義務を果たすために特例扱いとし2年以上の休止を認める。
専門研修の中断
  • 専攻医が専門研修を中断する場合は,研修プログラム管理委員会を通じて日本専門医機構の麻酔科領域研修委員会へ通知をする。
  • 専門研修の中断については,専攻医が臨床研修を継続することが困難であると判断した場合,研修プログラム管理委員会から専攻医に対し専門研修の中断を勧告できる。
研修プログラムの移動
  • 専攻医は,やむを得ない場合,研修期間中に研修プログラムを移動することができる。その際は移動元,移動先双方の研修プログラム管理委員会を通じて,日本専門医機構の麻酔科領域研修委員会の承認を得る必要がある。麻酔科領域研修委員会は移動をしても当該専攻医が到達目標の達成が見込まれる場合にのみ移動を認める。

地域医療への対応

 本研修プログラムの連携施設には,地域医療の中核病院としての好生館,嬉野医療センター、佐賀病院の連携施設が入っている。医療資源の少ない地域においても安全な手術の施行に際し,適切な知識と技量に裏付けられた麻酔診療の実施は必要不可欠であるため,専攻医は,佐賀大学だけでなく,上記の中小規模の研修連携施設においても一定の期間は麻酔研修を行い,当該地域における麻酔診療のニーズを理解する。

専攻医の就業環境の整備

 研修期間中に常勤として在籍する研修施設の就業規則に基づき就業する。専攻医の就業環境に関して,各研修施設は労働基準法や医療法を順守することを原則とする。プログラム統括責任者および各施設の研修責任者は専攻医の適切な労働環境(設備,労働時間,当直回数,勤務条件,給与なども含む)の整備に努めるとともに,心身の健康維持に配慮する。
 年次評価を行う際,専攻医および専門研修指導医は研修施設に対する評価(Evaluation)も行い,その内容を専門研修プログラム管理委員会に報告する。就業環境に改善が必要であると判断した場合には,当該施設の施設長,研修責任者に文書で通達・指導する。